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2012年6月25日 (月)

遅ればせながら6月議会報告 ⑥ 反対討論

 最終日の本会議。自民党などから提案があった政府に対する意見書案のうち、尖閣諸島問題と北朝鮮の拉致問題について反対しました。 解決に少しも役立たないことを求めていると考えるからです。以下、全文掲載します。およみください。

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 日本共産党の伊藤祐司です。議題となっている4つの発議案のうち議第17号「尖閣諸島の実効支配を推進するための法整備を求める意見書」及び議第19号「北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決を求める意見書」について反対の立場から討論いたします。

 どちらの問題も東アジアの平和と安全、日本と近隣諸国との友好関係にとって解決しなければならない極めて重要な外交問題ですが、いずれも日本の外交のお粗末ぶりを示す事案となっています。そして2つの意見書案の求める方向は、問題の解決には役立たないどころか事態をいっそう困難にするものと言わねばなりません。

 まず尖閣諸島の問題です。この島が歴史的にも、国際法上も、日本固有の領土であることは明白であります。にもかかわらず、なぜ今日のような事態を招いてしまっているのか。それは、歴代の政府が日本の尖閣諸島領有の正当性を、世界に対しても、中国に対しても主張してこなかった。これが最大の問題点であることは明らかです。

 解決の道はどこにあるのでしょうか。人類は、20世紀の2度の世界大戦を経て、領土を含む国際紛争の解決は平和的手段によらなければならない、という大原則をうちたてました。日本共産党は、まさにこの大原則に沿った方向以外に解決の道はないと考えます。力の政策、軍事的な対応を振りかざすことは、国内的には勇ましく見えるかも知れません。しかし、この問題の本質的な解決をさらに困難にすることになるのです。そうした対応は、日本の正当性を覆い隠すことになるからです。国際社会に日本領有の正当性への理解がひろがらなければ、ここまでエスカレートしてきている事態を解決に向かわせることなど不可能であります。

 意見書案は、「領域警備に関する必要な法整備」――つまり自衛隊が出動できるように、もしくは常駐できるようにしろと、軍事的な対応を求めています。世界がこの問題を「日中どっちもどっち」というぐらいにしかとらえていない中でそんなことをすれば、事態はさらにエスカレートするでしょう。中国国内の対日感情も悪化します。そうなれば進出している日本企業も、貿易も、交流事業も深刻な事態になるでしょう。昨年の中国漁船の事件で政府は、逮捕した中国人船長を釈放するというみっともない対応をしました。最大の貿易国である中国との「戦略的互恵関係」を慮ってのことです。こうした事態がくりかえされかねません。国際世論を味方につけなければだめなのです。

 日本の正当性を世界が理解するまで主張しつづける。道理は日本にあるのですから、自信をもって、様々な場面で堂々と訴え続ける。中国がこの問題で突っ張ることが国際社会での孤立を招き、国益にもそぐわないと思わせるところまで国際世論をつくってゆく――その外交努力こそ大切なのです。
 そういう思想のひとかけらもない意見書には同意できません。

 拉致問題が進展しない原因はもっと単純です。日本が正式な外交ルートを持たず、軍事対応の悪循環に陥っているからです。6カ国協議に参加する国の中で、北朝鮮との正式な外交ルートがないのは日本だけです。直接のやりとりもできないのに、今回の意見書が求めるような「強い圧力をかけろ」とか「混乱事態に備えた対策を検討しろ」とか、軍事的対応にいくら熱中しても解決などするはずがありません。道理にもとづく外交によらなければ、拉致問題は解決しません。この間の経過にてらしても、それは浮き彫りになります。

 1988年。わが党の橋本敦参院議員の質問が、「一連の行方不明者が北朝鮮による拉致と考えられる」との政府見解を初めて引き出しましたが、外交による解決は一向に前進しませんでした。日本共産党は99年の1月と11月に、当時の不破委員長が衆院本会議で、「正式の対話と交渉のルートを確立する努力を、本腰を入れて真剣に行い、その中で拉致問題を含めて双方のあらゆる問題をきっちり解決するべきだ」と提唱しました。2度目の提案の直後に、当時の村山首相の決断でわが党も参加した超党派の代表団の訪朝が決まりました。この代表団の訪朝が、政府間の交渉開始を引き出し、それが2002年の小泉首相の訪朝と拉致された方々の帰国、そしてピョンヤン宣言につながりました。

 ピョンヤン宣言は、核兵器、ミサイル、拉致、過去の清算など、両国間の諸々の懸案を包括的に解決して、国交正常化をはかるという外交的解決のロードマップとして、きわめて重要な意義をもつものとなりました。さらに、6カ国協議という枠組みが進展し、2005年の6カ国協議の共同声明は、朝鮮半島の非核化をはじめとする諸問題の平和的解決を確認するなど重要な前進を記録しました。このように拉致問題をはじめ日朝間の懸案が進展したのは、まともな外交努力を行ったときなのであります。

 拉致問題には直接のかかわりがない金正恩氏がトップに座った今こそ、新たな対話をはじめるチャンスです。日本がとるべき戦略は6カ国協議の枠組みを大切にしつつ、独自の正式な外交ルートを開いて、道理にたった外交努力をすすめること。これこそ、拉致問題解決への近道です。

 核実験など、さまざまな懸案がありますが、北朝鮮の後継指導部が、ピョンヤン宣言・6カ国共同声明にたちかえり、国際社会の責任ある一員としての道をすすむことが、北朝鮮自身の今後にとって最も理性的な方向であることを受け入れられるように仕向けてゆく。日本をはじめ、関係諸国が、そうした方向に事態を前進させるための外交的努力に力をつくすことが大切なのです。
 そうした考えのかけらも見られない意見書案には同意できません。
 以上申し上げて私の討論といたします。

遅ればせながら6月議会報告 ⑤ 住宅リフォーム助成制度

 地域経済に効果の大きい経済対策としてとりくむ市町村が増えている「住宅リフォーム助成制度」。産経土木常任委員会で、「住宅の耐震補強とあわせて県としても制度創設を」と求めました。

 住宅リフォーム助成制度の「効果」は昨年度、高崎市でも証明されました。リフォーム工事を地元の業者に発注することを条件に費用の3割を助成するもの(上限20万円)。市は当初5000万円の予算を組みましたが、申請が殺到。補正予算を組み、最終的には1億7900万円の助成額となりました。この補助金が誘発した工事費の総額は9億1000万円を超えています。

 工事の内容をみると屋根や外壁が約35%、内装や畳・サッシなどが32%、トイレ・浴室・台所など水回りが約30%と、住宅関連業者がまんべんなく請け負っている形。市民はリフォームを助けてもらい、業者は仕事が増え、黒字になれば税収も増える――まさに三方良しの施策です。

 私は、群馬県の住宅の耐震化が全国平均を下回っている現状や秋田県、青森県などがリフォーム助成と併せて耐震補強をする場合は補助率や上限を上乗せする制度をつくっていることを紹介しながら、群馬県での制度創設を求めました。

 しかし県は、「耐震補強を優先したい」としながらも、その補助制度については具体的な答弁はなし。この問題での後ろ向きな姿勢を露呈しました。

遅ればせながら6月議会報告 ④ 子育て新システム撤回

 「保育への公的責任を放棄するもの」と保育士や父母が強い反対の声をあげている『子ども子育て新システム関連法案』。その撤回を求める意見書が、最終日の本会議で、日本共産党や自民党など賛成多数で可決されました。民主系のリベラル群馬などが反対しました。

 意見書は「市町村と保育施設の委託関係がなくなり、保護者と保育施設の直接契約となることから、保育に対する国や市町村等の公的責任を大幅に後退させる」「企業参入を促進させるため、保育施設が利益追求の場となる」「待機児童を解消できない」として、法案の撤回を強く求めています。

 日本共産党は、酒井宏明県議が厚生文化常任委員会で「保育士を増やしてほしい」「給食の外部搬入はやめて」など、保育関係者や保護者の要望にふれ、「新システムはこうした思いに逆行するものだ」と主張していました。

遅ればせながら6月議会報告 ③ 違法な雇い止め

 群馬県の誘致企業第一号の沖電気工業の子会社、(株)沖データ(高崎市双葉町)での派遣労働者の違法な雇い止め問題を産経常任委員会でとりあげました。

 派遣労働者のTさんは、8年以上にわたって沖データに勤め、開発プロジェクトのマネージメント業務をまかされるなど正社員同様に働いてきました。こうした働かせ方は3年以上あれば直接雇用する義務が会社に生じます。

 ところが昨年9月、突然雇い止めに。Tさんは県労働局に派遣法違反を申告し、労働局もこれを認めて沖データにたいして「直接雇用」を推奨しました。しかし沖データはこれを拒否しつづけています。

 私は「安い賃金にもめげずに頑張り、会社にも貢献した労働者をさっさと雇い止めにする――企業の社会的責任にてらしても、これだけはっきりした違法行為が正せないようでは県民の雇用は守れない。県としても対処してほしい」と求めました。

 産業経済部長は「労働局とも連携して対応したい」と約束しました。

遅ればせながら6月議会報告 ② 企業誘致問題

 群馬県はいま、企業誘致に力を入れています。立地する企業に不動産取得税額相当の補助金を交付したり、特別枠の融資をしたり、知事先頭にトップセールスにも取り組みます。

 さらに今議会では自民党委員から「(大幅な補助増額など)思い切ったやり方を」との質問もありました。

 しかし、この間の企業誘致が雇用拡大にどれだけ結びついているのか、具体的なデータはありません。この点を追及しました。

 私は、企業誘致を否定ありません。しかし、莫大な補助金まで出して誘致すのがはたしていいことなのか。たとえば、液晶パネルで有名なシャープの亀山工場は三重県と亀山市が併せて135億円もの補助金を出して誘致したのに、たった6年で台湾の企業に身売りとなったています。

 補助金につられて来るような企業は儲からなければすぐ出て行くことになるのです。

 群馬県がこの間誘致した企業がどれだけ雇用を増やしたのか具体的な調査や資料のないことも問題だと指摘しました。

 雇用がどれだけ増えたのかはっきりつかまなければ、産業政策として正しいかどうかもわからないし、改善点もみえなくなるからです。

 産業経済部長は、誘致企業への聞き取り調査などをすすめると明言しました。

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